マスコミの行き過ぎと行かな過ぎ
今に始まったことではないが、どうでもいい話にだけ全力投球のマスコミにうんざりしてる今日この頃だ。
たとえば日ハムの新庄が活躍しようがしまいが、「今日の新庄」みたいなコーナーでこまかく紹介するとか、ほんと鬱陶しい。TBSのニュース23に山本モナという女性キャスターがいて、民主党の細野豪志という議員と不倫してキスしたから降板だという。いくらなんでもちょっとそれは行き過ぎではないか。
そんなプライベートと仕事とは関係ないだろ。あまりに幼児的だ。小学校のクラスにも「こいつら付き合ってら~!や~い!」と赤い鼻をして大騒ぎするようなお調子者の馬鹿がいたと思うが、この間の写真誌やマスコミのはしゃぎっぷりはまさにこの小学生と同レベルである。降板まで追い込むことができて大満足だったのだろうか。
それから東京・東大和市が生まれつき気道がふさがりやすく痰の吸引が必要なことから、青木鈴花さん(6歳)の入園を拒否、その訴訟で市の違法性が認められた件。確かに市の対応に問題はあったとは思う。それからこの子が天使のように愛らしいのも分かる。
しかし、繰り返し繰り返ししつこく、可愛らしい映像を挿入して、市を断罪するのは「映像による暴力」に近い。本来この子の可憐さと、痰吸引という医療行為が学校側の責任にされてしまうのは別問題である。必要以上に可愛い映像や、同情を喚起するような編集をするのは行き過ぎだ。こういう情緒的な報道は、日本に特徴的で、論理に感情が勝ってしまっている。
いじめを否定しようとする学校側を断罪するのも、ちょっとやり過ぎの面がある。本来やはり子供たちの問題なのだから、学校や先生を血祭りに上げればそれでよいわけではなかろう。手段と目的が逆転してないか?子供はそういうとこよく見ているから、力関係では「マスコミ>学校」なので、マスコミが正義面をして学校側を「いじめ」ている構図と分かってるに違いない。
最近、ドイツに住んでいる方に聞いたのだが、8月に大規模な原発事故がスウェーデンで起きたことをほとんど日本だけが報じていないという。膨大な量のプルトニウムが流出し、(下記追記を参照)10基あるうちの4基がストップした大事故だ。以前北朝鮮に関するエントリで、日本のマスコミに依存していると世界の情報孤児になると書いたが、その通りのことが進行中である。このリンク先によると、大手電力会社のスポンサーの意向を反映したものというが、受け手は注意が必要である。
ちょっと今あまり時間がないので、動きをフォローできていないのだが、耐震偽造事件でもいつの間にかイーホームズの藤田社長だけが有罪判決を受けていて、彼の言い分を全く大手マスコミが無視しているという。よくまだ分からないが、安倍首相とその後援会がらみだからなのだろうか。
奈良県大淀町の町立大淀病院で19病院に搬送を断られた末、妊婦が死亡した事件でも、こういうマスコミへの反撃として、ひたすらバッシングを受けていた医師たちがブログで反論するようになった。こことかこことか。たとえばいじめ報道にしても、学校・先生側もマスコミの行き過ぎに意見があるなら、どんどんネットで反撃してほしい。
自分自身、恥ずかしながらこういうマスメディアの末端に連なる者だが、「ここまで言いきってしまうとブログや2chに何か書かれて反撃されるかもしれないですよ」とプロデューサーに言えば、けっこう抑止効果があるようになってきた。マスコミも減点評価制度だから、Pはクレームやトラブルの方をより恐れる。ネットがいきなり社会を革新するということはないが、じわじわとその力を発揮しはじめているのは間違いない。
(追記)
このエントリはこれまで2000人以上の人にご覧いただいておりますが、コメント欄のsugajun様のご指摘のとおり、スウェーデンの原発事故でプルトニウム流出というのは、私の誤認でした。大変失礼いたしました。なお、事故の詳細はこちらからご参照ください。
「ジャーナリズム」カテゴリの記事
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Comments
ニュースサイトから来ました。
奈良の件は、毎日新聞が、ありえないくらい酷いです。
あれのおかげで、奈良の産科は崩壊しかけています。
■「マスコミたらい回し」とは?(その22)
毎日新聞奈良支局青木絵美記者、「スクープ」を自慢
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2006/10/22_cf17.html
■「マスコミたらい回し」とは? (その10)
医師限定掲示板からのコピペ 更に続報「その日何が起こったか」
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2006/10/10_9808.html
■EBMとJBM
http://blog.hashimoto-clinic.jp/200605/article_3.html
ここが一番、まとまっているのでわかるのですが、
CTを内科医が撮れと言った事については、記者の目では
無かった事になっています。
患者側からの偏向視点でしかモノを語りませんし。
産科全体から終末感が漂って来ているのが怖いです。
Posted by: 柳 | October 27, 2006 at 07:17 AM
僭越ながら....
「膨大な量のプルトニウムが流出し、10基あるうちの4基がストップした大事故だ」
とお書きになっておられますが、リンク先の記事を読むと「スウェーデンの原発事故(10基中4基が停止)」と「英国の核廃棄物再処理工場セラフィールドで起きた大事故(プルトニウム流出)」は別の事象と読解できますが、いかがでしょうか?プルトニウムが流出するメルトダウンが原子力発電所で起これば、如何に鈍感な日本のマスコミと言えども記事にするのではないでしょうか?
もし、わたしの読み違いで恥ずかしい間違いをしておりましたならば、慎んでお詫び申し上げます。
Posted by: sugajun | October 27, 2006 at 09:16 AM
sugajunさま
ご指摘ありがとうございます。おっしゃるとおり混同していたようです。事故の詳細は以下のリンクをたどってください。本文中は追記という形で修正しておきます。
http://ja.wikinews.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80%E3%81%A7%E4%BA%8B%E6%95%85
マスコミを批判しながら誤報するとは滑稽の極みですね、失礼しました。
Posted by: hakohugu(管理人) | October 27, 2006 at 09:49 AM
ハコフグさん、こんにちは。スウェーデンの事故ですが、日本でも報道されるべき大事故だったんすかね。
>8月に大規模な原発事故/10基あるうちの4基がストップした大事故だ。
7月25日に1基(Forsmark 1)が緊急停止、他は同様のトラブルがおきないかどうか確証がなかったので運用者が8月に入って意識的に止めたみたいですね。点検だかで止まってたのもあるみたい。(http://www.ski.se/dynamaster/file_archive/060808/51123a57e597dc90bdf449e578fb2803/Granskningsrapport%5fengelska1.pdf の2ページ目)
で、スウェーデン原子力施設検査局(SKI)のみたてでは、これは国際原子力事象評価尺度(INES)のレベル2(レベル0~7中下から2番目。チェルノブイリが7)で「incident(異常事象)」だと(http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/pict/11/11010401/02.gif)。「accident(事故)」分類ではない。
まあ、SKIサイト(http://www.ski.se/extra/news/?module_instance=3&id=468)をみると、安全管理系への電力供給が止まって燃料制御棒の表示装置がうごかない(^^;とか、ECSが作動して冷却水の注入が始まった(^^;とか、スプリンクラーが作動した(^^;とか、ヤなことが一杯書いてあるわけで、我々一般人がみりゃ「事故」なんだと思います。だから米NRCなんかも「significant incident」と表現してるんだろうし。しかし、放射能が漏れたわけじゃないみたいですね。
私いまアメリカにいますが、テレビや新聞でこの件を大々的にやってたという記憶ないですね。念のため商用DBも検索してみましたけど、初報は通信社電とかですな。欧州では結構やったのかしら。
そんなわけで今のところの印象としては「当落線上」かなあ。共同とか時事とか、ほんとに流してないんですかね。「マスコミしっかりせい」とのご主張に反論はありませんが、主張の補強材料としてこの事例は弱いんじゃないかなあ、というのが個人的感想でありました。
Posted by: harmoniker | October 28, 2006 at 11:45 AM
harmonikerさんどうも
行かなすぎ例としてはやや弱かったですか。
でも欧州はあれだけ狭いエリアに国がかたまって、各国に邦人も多いから、結構みなビビッたはずとは思うんですが。ドイツなんか大騒ぎだったそうです。
でも、この上記エントリは結構はてBでも注目されたみたいだけど、原発について、考えてもらう機会を作れて良かったなと思います。
Posted by: hakohugu(管理人) | October 28, 2006 at 02:36 PM
>ドイツでは大騒ぎ。
なるほど。止めた原発の運営企業にドイツ系が入ってたせいもあるのかな。確かに一報はあっていい気はしますけどねえ。日本だったら、放射能漏れはないとはいえ、安全管理系のトラブルだから、大きく報じられるだろうし。「スポンサーの電力会社に配慮して隠した」みたいな主張は、あんまり説得力感じないなあ。まあ、感じですけどね。
ところで、ハコフグさんが紹介されてるサイトで「NYTでも大々的に」って書いてあるんですが、NYTサイト検索かけてもなぜか出てこない。ぼくも紙で見た記憶ないしなあ。どうなってるんだろ。
http://query.nytimes.com/search/query?frow=0&n=10&srcht=s&query=Forsmark&srchst=nyt&hdlquery=&bylquery=&daterange=full&mon1=01&day1=01&year1=1981&mon2=10&day2=28&year2=2006&submit.x=0&submit.y=0
まあ、欧州は脱原発派がまだまだ元気で、こういう事故はきっちり詰めるという環境があるんかな。グリーンピースなんかは原子力産業は不倶戴天の敵なんでしょうから、この事故に関するリリースの物言いも激しいっすよね(^^;
http://www.greenpeace.org/international/news/sweden-nuclear-closure-040806
しかし、wikiニュースの
>炉心緊急冷却システムと予備の冷却装置が電気的トラブルにより動かなくなり
ってところ、前に言及したski(スウェーデンの原発管理当局)のサイトを見ると
>The emergency cooling system did for a short period of time pump water into the reactor vessel.
と書いてあって、ECSは作動したみたいなんだけど、これもどういうことなんでしょうね。
以上、またしても長々とすいません。
Posted by: harmoniker | October 28, 2006 at 11:10 PM