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富士山の御来光登山はあれでいいのか?

 今年の夏、富士山に登ってひどいなと思ったことがある。ゴミやし尿のことではない。ゴミは、本8合目より下は本当にきれいになっている。その際、静岡・山梨両県の自治体や山小屋の従業員の皆さんがボランティアで一生懸命ひろっている現場にも遭遇し、頭が下がる思いであった。 蛎(かき)殻を使ったバイオトイレというのもあった。悲願である富士山の世界文化遺産登録を目指して懸命に努力している。

 ひどいというのは、御来光登山というやつだ。一度、富士山に登った人は知っていると思うが、なぜか富士山のツアーでは、御来光登山というのが定番になっている。つまり8合目辺りを深夜1時頃に出発し、午前3~4時に山頂で日の出を待つのだ。みんな何の疑問も持たず、この無謀なスケジュールに盲目的に従っているが、こんなに登山の常識を無視した馬鹿げたツアープランはない。こう言われれば、富士登山はもうこりごりだと思った多くの人々はピンとくるであろう。

 山小屋のご主人が、富士山に登る人はここ最近増える一方で年間20万人を越えているが、リピーターが少ないのだと嘆いていた。私見であるが、恐らくその理由は、岩ばかりの貧弱な自然環境や景観、ひたすら登るだけで登山道としての魅力が少ないこと、山小屋の登山者の扱いがひどいこと(貧相な食事にすし詰めの寝床、様々なぼったくり料金※例外も有)などがあげられると思う。そしてもう一つ、御来光登山がトラウマになっているのではないかというのが、私の仮説である。

 登山者の半数以上が初心者というのも、他の山にはない大きな特徴である。彼らは判断能力がないため、ガイドブックやチラシに書いてあることを鵜呑みにして、御来光を見るため深夜1時ごろに8合目を出発するのが当たり前と思っている。しかしある程度の経験者からすれば、深夜1時~3時頃の真っ暗な登山道を、山頂を目指してヘッドランプをつけ、あたかも亡者の群れのごとく行列を作っている富士登山者たちは不気味としかいいようがない。

 通常、山登りにおいては日没後の行動は絶対避けるべきである。視界が無いために、滑落や道迷いの可能性が高まる。それに加え、独立峰である富士山は気象が急変しやすく、突然の強風やガス、降雨に遭う可能性は高い。しかも3776mという高度は、気圧低下による高山病などのリスクも伴う。1000m登るごとに気温は6℃ずつ下がるため、下は30℃でも山頂部は7℃ほどになり、これに強風が加われば、体感気温も下がって体力が奪われ、遭難のリスクは圧倒的に高まる。

 統計が見つからないので、夏山シーズンの平均的な遭難件数はよく分からないが、小屋の主人によると、7,8,9月でだいたい20件前後の遭難が起き、3~4人が亡くなるという。決して富士山はたやすい山ではない。一度登った人なら分かるだろうが、真夏にもかかわらず、山頂部の寒さと強風はすさまじい。だが、人が多くて安心感があることと、非日常の高揚感によって感覚が麻痺しているために、こうした厳しい環境にいることを忘れがちである。

 こうしたリスクをほとんど知らず、朝日を見るだけのために、多くの登山者が行列を作り週末ごとに狂騒を繰り広げている。真っ暗で視界のきかない中、寝不足のまま、山頂直下の急斜面を登るのは、初心者にとってこれまでの人生で経験のないほどの疲労感があるだろう。また富士山特有の強風には、暗がりの中、多くの人が不安を感じているはずだ。このような無謀な計画が初登山であれば、二度と行きたくないと思うのは道理だし、登山自体を敬遠することになるかもしれない。

 ガイドもなく、雨具も防寒着も水も十分に持たずに来るような人も、あちこちで見た。恐らく下調べなど全くしていない。下手すれば、地図すら持ってないだろう。登山道のわきや、お鉢のところの休憩所でぐったりしている人間も多数いた。こういう山に来るべきではない人間が、高度3776mの世界に気軽に来てしまうのが富士山の恐ろしい現状である。ツアーを開催する旅行社や、自治体は、御来光登山を当たり前のようにツアープランとして推奨するのは即刻やめるべきである。

 御来光が見たければ、泊まっている山小屋から、朝起きて普通に見ればいいのだ。山頂から見る風景と全く同じである。そして気温が上がって、天候を確認してから出かけるという、まっとうな登山計画を推奨すべきである。観光客を増やすための世界遺産登録などに血道をあげるより先に、自治体やツアー会社、山小屋はやるべきことがあるだろう。ゴミが無いきれいな富士山も大切だが、多くの人命が失われるような血塗られた山にしてはいけない。

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Comments

私も、まさに、このスケジュールで初富士登山をした人間の一人です(^^;)。それが今のところ最初で最後ですが、当時、既に60歳代後半になっていた実父を連れて、親子で登ったのでした。フツーのガイドブックに、フツーに載っていたスケジュールだったので、少しも不思議に思うことなく、「そーゆーもんなのか」で計画を立てました。

下山途中、実父は、靴ずれしたことを息子の私に言い出せなかったようで(ヘンなところで恥ずかしがる人間です)、真っ赤になってしまった実父の足を見て、普通に歩いて下山するのは難しいと判断したので、最後は私がおぶって下山しました。人目にはすごい姿の親子だったことでしょう(^^;)。実父も私以上に大変だったと思いますが。

ハコフグマンさんと知り合うキッカケとなった、「あの人」が誘ってくれたので、その友人たちと一緒に、夏の白馬に登ったことがありますが、私の「登山」はあれだけかもしれません。

Posted by: テツヤ | September 24, 2007 at 11:13 PM

テツヤさま
どうも。白馬良いとこですよねー。私もだんだんあの良さが分かるようになってきました。

マイナーな話題なのに、この記事に大量のアクセスが来ていることに驚いています。

御来光登山の害に対する意見は聞いたことが無かったので、もっと反発や反論が来るかと思ったんですが、意外と今のところ反応はうすいです。

Posted by: hakohugu | September 25, 2007 at 11:19 AM

う~ん、答え難いネタです。
思うに、富士山は「下から見あげて楽しい山」であって「登って楽しい山」ではない、と思います。
しかしそれでも「一度は登ってみよう」と言うなら、日の出か日の入りを勧めるでしょうし、日没後行動の制約を考慮すれば「山頂での日の出」で「正解」と思います。
日陰が無く水場も無く独立峰のためコースも単調ですから、涼しいうちに自分の足元さえ見えればオーケーでしょう。

むしろ、富士山を近辺各地から眺めるツアーの方が、時期や時間が適切なら面白いんじゃないかと思います。
その辺は単純に経済効果も高そうなので旅行会社の怠慢かも知れませんね。

Posted by: トリル | September 26, 2007 at 01:57 AM

初めて書き込みします。
私も去年初めて御来光登山しましたがもう懲り懲りですね。
日出の時刻が近付くと、みな我先に登頂しようと、急勾配の危険な岩場を押し合いへし合い。
登山道の柵を乗り越えて岩をよじ登ろうとする奴もいて、黄色いパーカーを着た山の誘導員?みたいな人に何度注意されても聞く耳を持たず、仕舞いには「いい加減にしないと警察に通報するぞ!」と怒鳴られる始末。(未整備の岩場は落石による大事故に至る危険性があるとの事)
ものすごく険悪なムードだったし、死の恐怖を何度も味わいました。ピーク時に行ったのも失敗でした。

Posted by: ピーチ | October 02, 2007 at 02:30 AM

そもそも、富士山って「登らぬバカ、二度登るバカ」って言われてませんでしたっけ?

Posted by: apj | October 03, 2007 at 07:35 PM

トリル様
御来光一辺倒ではない、平地からのツアーも色々出てくるといいですね。

ピーチ様
8月は人出がすごいらしいですね。でも7月、9月は寒いしね。やっぱ御来光に固執しなければいいのだと思います。

api様
聞いたことありませんが、その通りかもしれません。

Posted by: hakohugu | October 04, 2007 at 06:37 PM

海から見る富士山も良いと思た。

Posted by: トリル | October 05, 2007 at 02:24 PM

今年もやはり起きてしまいましたね

富士山で男性4人遭難 軽装の未経験者、ヘリで救出
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071106-00000046-san-l19
>全員が冬山は未経験。ジーパンにスニーカーの
>軽装で、登山計画書の提出もなかった。

Posted by: ピーチ | November 06, 2007 at 01:23 PM

ピーチ様
最近はマナーを守らない人は減りましたが、無謀な人が増えているように思います。これは私の知り合いの登山家も言ってます

Posted by: hakohugu | November 07, 2007 at 07:57 PM

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Tracked on September 25, 2007 at 09:02 AM

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