クローズアップ現代 名ばかり管理職
11月19日(月)悲鳴あげる“名ばかり”管理職
十分な権限を与えられず自分の勤務時間すら決められないにもかかわらず「管理職」として扱われる"名ばかりの管理職"。過酷な長時間労働を強いられながら残業代も支給されない…そんな20~30代の若手社員が増えている。背景にあるのは人件費を抑制しようとする企業の姿勢だ。パートや派遣など非正規労働者の割合が増える中で、一握りの正社員が入社数年で管理職に任命され、限界を超えて働かされるケースが少なくないという。そうした人たちが過労で心身の健康を損なう被害も相次いでいる。景気回復のかげで若い管理職が使い捨てられる労働現場の厳しい実態を取材し、改善に向けた対策を探る。スタジオゲスト:森岡孝二さん(関西大学経済学部教授)
良い問題提起だったと思う。要するに名目だけ管理職にしてしまって残業代を払わず、長時間・薄給で酷使しようという、企業によるあからさまな労働者奴隷化計画である。この番組にはNHK局内からも「それはウチだろ」と、かなり突っ込みが入ったことは想像に難くない。名ばかりとまでは言わなくても、NHKも管理職比率が高く、管理職になっても重労働になったあげく賃金が下がるだけだとこぼすCPさんも多い。
大手紳士服販売会社(コナカのことだと思われる)では社員の40%を管理職にしていた。ここで店長をまかされて現在は退職した男性が出ていた。やり手の営業マンだった彼は、売り上げをのばそうと思って自分なりに工夫しようとしても、細かいところまで本社に指示される。残業は月100時間をこえることもあるが、管理職であるとして、残業代は支払われなかった。
社員時代に買ったスーツが部屋の中に所狭しと置かれている。店の売り上げ目標を達成するために、自腹で買ったものだ。自分でもいくつあるか分からないほどだという。彼は会社は競争意識を煽り、名ばかりの管理職として将棋の駒のように利用して、社員を使い捨てると語る。厚生労働省の調査では、こうした名ばかりの管理職は現在、57%に達しているという。
もっとひどい例として、非正規からはい上がり、コンビニエンスストアの店長になった男性が紹介されていた。アルバイトの不足分を補うために、長時間労働を強いられる。出勤簿を見ると、7時24分に出勤したあと、その後24時間勤務、その後寝る間もなく翌朝8時半には出勤している。勤務時間は4日間で80時間を超えた。一月の残業が167時間、過労死の認定基準の2倍以上だという。それで給与は33万から25万に減った。
それでも必死で働いた。また非正規に戻りたくなかったからだ。先月、鬱状態と診断され、今は自宅療養している。しかし、仕事から少し離れ、会社のねらいがよく分かったようだ。要するに簡単に人を採用して、名目だけ管理職にしてこき使い、本人が限界に達するまで働かせて、体が壊れたら使い捨てる。そしたらまた非正規から雇うというサイクルで、長時間・低賃金労働を恒常的にしようというのが会社側のねらいなのだ。
労働基準法では「管理職」の基準として、一応以下の3つをあげている。1.経営者と一体的な立場、2.労働時間は管理されない、3.ふさわしい待遇(一般の従業員よりも高い賃金を受け取る)。関西大学・森岡孝二教授は、労基署がこういう認定基準を曖昧なまま放置してきたのが、企業の悪辣な人件費抑制を助長させてきた原因だという。
おもしろかったシーンは、経営者向けに行っていた社会保険労務士のセミナーである。「ココまで来たか、偽装問題。今度は偽装管理職です」と冗談めかして言い、裁判で負けても損しない賃金の払方、契約の仕方にしておけばいいと、経営者たちに悪知恵を吹き込む様子が放送されていた。曰く、残業手当を支払っても、ボーナスで調整することができる。月給に残業手当を含ませておけばいい等。
非正規で無ければ、死ぬまで働かされる。森岡教授はこの現状を「ワーキングプア(非正規)と過労死(正規)が共存する時代」と言った。なるほど絶望的な社会である。年収200万円の非正規雇用の人と、猛烈と休み無く働かされる正規雇用の人と、二極化していく。これは健全な社会とはいえない。地域や家庭の生活が崩壊し、治安の悪化や少子化に影を落とす。またこういう非人間的な雇用は、交通や医療など社会の安全を担う分野を破壊し、労働災害を多発させる。
まずは身近な人、息子や娘、友人がそういうめにあっていないか、第三者に相談してみよう。番組でも少し紹介されていたが、森岡教授がやっている過労死110番というサイトがあるそうだ。
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Comments
ワークングプアと違い、
渦中ではなかなか気付きませんが、
こっちはまだ辞めるという選択肢があります。
これからは労働が逼迫します。
今まではこういう企業が成り立ちましたが、
これからは無理なんじゃないかな。
甘い?
Posted by: マルセル | November 20, 2007 at 10:27 AM
マルセル様どうも。
何かこの記事、反響大きいみたいですね。さすがNHK。ワーキングプアといい、すごい影響力ですね。
他のブログ読んでると、こんなの昔からあるとか言ってる人もいるんですが、明らかに質が違うと思いますけどね。
僕の親父も課長になったとき、新卒の初任給より給料安くて、さすがにそれは会社が修正したと言ってましたが、そういう次元の話ではないですよね、これは。
Posted by: hakohugu | November 20, 2007 at 05:54 PM
日本という国は人間をただ働きさせることでしか、利益をあげる手段を思いつかないのではないでしょうか。
ちなみに、日清戦争、日露戦争、第二次世界大戦の時は、戦死者よりも戦病死者のほうが多かったそうです。
人間の命の無駄遣いは、過去から連綿と続く日本という国のサガなのではないでしょうか。
Posted by: KKMM | November 20, 2007 at 10:30 PM
KKMMさん、それだとこれからは
ただ働きに耐えられずに外国並の国になりますよw
今の便利で安全な日本を捨てずに守っていくには戦時下のような
緊急事態並の国民の疲弊(今の日本?)では無理です
資本主義を否定しない程度でいいので経営者は守銭奴を止めて欲しいw
そうなると権利教育より道徳教育に行き着く訳ですが
Posted by: また | November 21, 2007 at 05:21 PM
高品質な物を過剰生産せず十分な利潤を設けて世界的に展開できれば忙しく働く必要は無くなる。
・・・北欧の企業文化にそんなのが多いような気もするなぁ。
そのためには、まず裁量権の強い道州制と地域的な直接民主制によって「一人一人自分が自分の主人」である理解や自覚を促す必要があると思う。
官僚に頼っても社会保険庁。
地方議員は無償ボランティアにして所詮カスガイ役で、選挙人は彼らを上手に使って、その分をちゃんと手弁当で全力で応援・支持をするようにすれば良い。
・・・途方も無く遠いなぁ。
Posted by: トリル | November 21, 2007 at 10:34 PM
本番組を実際に観たものには、正直、物足りないと感じさせる投稿でしたが、映像ディレクターさんならではの視点を拝読できたのは良かったです。
“この番組にはNHK局内からも「それはウチだろ」と、かなり突っ込みが入ったことは想像に難くない。”
なんていうのは、「あ、そりゃそうだ!」と。
Posted by: naot | November 24, 2007 at 07:15 PM