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3年で辞めた若者はどこへ行ったのか~アウトサイダーの時代~

 

城繁幸氏の「3年で辞めた若者はどこへ行ったのか~アウトサイダーの時代~」を読んだ。富士通を辞めて内部告発的な本を出したときから彼のことは注目していた。このブログを2004年に始めたときも3番目の記事で取り上げていた。格差問題や就職氷河期などについてもだいたい同じ意見だ。会社や日本社会に対して、うまく口にできないもどかしさや閉塞感を抱えている若者は読んでみるといいと思う。

 年功序列と既得権を死守する大企業や官僚機構の中高年、左翼政党。これらを著者は昭和的価値観またはリバイアサンと呼んでいる。この本では、こうした旧体制に支配された江戸時代の封建制のような社会を変えようと、いつになく過激な言葉で若者をあおっている。このままいくと、ロストジェネレーションは35歳をこえ統計からもロストしてしまう。職務給や自由な労働市場を早く実現しないと、本当に彼らはホームレスになる。あと10年の空白がロスジェネ世代の破綻を呼びかねないという著者の危機感さえ感じた。

 本の行間から、過激さとは裏腹に同世代やその下の若者に対する彼の優しい目線を感じる。生まれてきた世代が悪かったというだけでいわれなき差別や屈辱を受け、踏みつけにされてきた若者たち。彼の文章からは本物の怒りが見え隠れしている。(モリタクや田原総一郎にはあまり感じない)。私がそもそもブログを始めたきっかけも、プロダクションや派遣のディレクターを踏みつけにするテレビ局の連中に大きな怒りを感じたからだ。彼の文章にはどこか心の中で共振する部分があった。

 この本の中でやり玉に上がっている昭和的価値観といえば、身近では、大企業に勤めていた父を思い出す。私の父は厳格な企業戦士だったし、病に倒れる直前に中国・アジア地域担当の最年少役員になったばかりだった。過去をタラレバで振り返っても詮ないことだが、時々あのままいけばどうなったかな、副社長くらいにはなっただろうなと思うこともある。しかし、晩年の父は辛そうだった。一緒に暮らしていた兄によれば、深夜、じっと虚空を見据え、怒りで手がふるえていたこともあったという。

 相当のプレッシャーと陰湿な攻撃にあっていたのだろう。私の家は、研究成果を上司に盗まれた、パワハラを受けたという若手の駆け込み寺のようになっていたようだ。組織全体のパフォーマンスを上げるために、個を押し殺す。言いたいことはあってもぐっとこらえて、胸の中にしまい、休みもとらず残業も厭わず家庭も顧みず仕事に没頭する。私もずっと体育会で来たし、確実にそういう血は流れていると思うのだが、なぜか私は早い段階でそういうレールから降りてしまった。別に父の仕事を見ていたわけだからではないのだが。

 組織よりも個人プレーが好きな私は、そういう系統の運動部ばかり選んできたし、すでに中学生くらいの時から父と考えが違っていたと思う。一度、中学生の時、こざかしい理屈を振り回していてえらく怒られたことがある。城氏は若者はこれからどんどんわがままで自己中心的になっていい、気に入らなければどんどん会社を辞めればいい、それが新しい雇用や企業のあり方を作ると言う。その通りだし、私もこれまでのような滅私奉公の宗教的な企業スタイルは滅びるべきだと思う。

 しかし、あの頃父に怒られたことも私の心の中で根を張っている。日本人ってどこかそういう欧米型になりきれないものってあるんじゃないかなとも思う。個より組織を優先するのはもはや遺伝子レベル?とでもいうような。今のポストロスジェネ世代が、前世代があれだけひどいめにあっているのに、バブル期とほとんど変わらない大企業を志望し、安定を求めている。優秀な人材は官僚や都銀などは避けているようだが、一般の子たちは相変わらず価値観を変えられない。それはつまりその親の昭和的価値観がそうとう根深いものだということだろう。ロスジェネとポストロスジェネの断絶も結構根深い問題だ。

 しかし何となく、旧世代の考えを全否定する気にもなれない。私自身がそういう価値観にどっぷりと浸った団塊Jrの世代だし、自分たちを必死で育ててくれた父を冒涜するような気もするからだ。年功序列にもそれなりのつらさがあった。今は穀潰しと下から見られている中高年もそれなりの荒波をこえた上での現在があると信じたい。

 だが、この本で取り上げられた新しい価値観をもつ若者たちを見れば、もう確実に新しい時代の芽が生まれてきていると感じる。あと10年もすれば、年齢ではなく能力に対して賃金を払い、人材は流動化し組織は新陳代謝を繰り返す社会になるはずだ。そうしたら今も昭和とそう顔ぶれの変わらない日本の古い企業群も再編成されるだろう。
 かつてバブル期には内定者を企業が囲い込んで海外旅行に連れて行ったり、愛社精神を植え付けるためにふんどしいっちょで川でお祈りさせる禊ぎ研修なんてものあったんだよなんていうのが笑い話になる日がくるだろう(もうすでに笑い話か)。

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Comments

少なくとも零細企業では笑い話ですね。

Posted by: おやじです | March 15, 2008 at 10:15 PM

> 怒り

彼の場合怒りというか、ボクらを含む上の世代への恨みとか憎しみを感じるんですよね、怒りは正のパワーに転化できるけど、恨みとか憎しみは負のパワー...それも憎しみの連鎖で代表される、テロを引き起こすものでしかない、だから城さんの本はあまり読む気にならない、結局団塊ジュニアは自分たちの親である団塊世代に殺されたとしか思えないんですよね、それにしてもこの本に書いてあったけど、前経団連会長の奥田さんのように、誰も団塊ジュニアのフリーターをビジネス教育して雇おうなどという気持ちはない、安易な使い易い?外国人の移民に頼ろうとしている、そんな気がするのですが...

Posted by: マルセル | March 16, 2008 at 02:47 AM

この記事は書いてから4000超と結構アクセスがありました。

おやじです様
そうですね。冷静に考えれば、大企業というのは、馬鹿なことやってます。他にも社内運動会とか旅行とかいろいろありますよね

マルセル様
企業は正社員化を進めているというし、城さんの煽動にも効果無しとは言えないのかもしれません

Posted by: hakohugu | March 19, 2008 at 12:29 AM

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