東京でマンションを買うこと
僕のように30代も半ばになってくると、周りの友人がみんな35年ローンとかでマンションなどを買い始める。「家賃払うより、後で自分のモノになるんだから得でしょ」「転勤すれば、そこを賃貸にすればいいし」などと言う。だけど、35年も(基本的に)解約できないモノに、何千万円もよく投資できるなと感心してしまう。キー局に勤めてる友人なら分かるのだが、僕らのような10年もてば御の字というような制作会社の連中でもそういうのが結構いるから不思議だ。もちろん公務員のように安い社宅が無いという理由は大きいのだが。公務員は都心でも月1万円くらいだそうだから。
東京に住んでて映像ディレクターなどというヤクザな稼業をしていると、自分の人生がこれから先35年も変わらないとはとても考えられない。だからそういう自分をしばるようなものは極力買いたくない。車もそうだ。もちろん維持費が高いとか、無くても交通網が発達してるので生活できるという側面もあるが、東京のように人の出入りが激しく、ライフスタイルも不安定な地域では、そういった限りなく不動産に近い動産も持たないほうが、生活の足を引っ張らないと多くの人が感じているのではないだろうか。だからますます新車は売れなくなっている。
かくいう僕も学生時代から10年以上マイカーに乗っていたものの、夜通し飲んでいた若い頃は、遊びと車の維持費で月末、銀行口座はすっからかんになっていたものだ。冷静に考えれば、車に毎年駐車場代や税金、ガソリン代などで50万近くつぎこんでいたんだから、10年で500万。結構な額だったなあ。仕事も忙しく海外取材なども増えてきた頃から手放し、今ではすっかりレンタカー派だ。そしたら急に金が貯まるようになった。背負うものが少ない方が身軽にフレキシブルに生きられるという意味では、レンタカー派と賃貸派というのも少し似ているかもしれない。
よく知らなかったが、マンションも車と同じで固定資産税やら管理費やらでなんだかんだで金がかかるんだそうだ。30歳くらいで結婚してすぐ新築マンションを買った友人は後悔している人が多い。思ったように賃金が増えないからである。
デフレが元凶とよく経済評論家はいうが、一般人からすれば所得が低く将来も期待できないのだから、可能な限り安い商品を選択するのは当然である。これだけ原油高、原材料高だというのに、町を歩けば99円ショップや500円ランチのファミレスなどがいまだに激しい価格競争をしている。どれほどの値下げ圧力がかかっているのか、想像するだに恐ろしい。デフレ云々よりは、賃金を問題視して経済を論じるべきと思うのだが、違いますか>経済に詳しい人。
東京ではこれまであきらかにマンションの新築戸数は多すぎたようだ。不動産は夏以降、投げ売り状態になるという噂もある。私の知り合いの不動産屋は本業をあきらめ、空き室を活用した新しい商売探しをはじめている(たくましい人だ)。
地方では家を買わないのは恥という妙な村社会的圧力で買う人はまだ多いが、東京では不動産業者にだまされてローンを組む人は減ってくるのではないだろうか。だいたい35年たって、どれほどの資産価値があるというのか。まずは築35年のボロボロの建物を見てみよう。今なら築1973年(昭和48年)という年代ものだ。35年たって、価値なんてほんとに残るのかどうかは極めて疑問に思う。マンションなんて土地としての価値もほとんど無いんだから、35年すっかり減価償却してしまう。
そんなわけで友人と話していて、こういう話に無知な僕には勉強になった。それで結論に達したのが、以下の3点である。
1.新築のマンションを買うのは、何だかんだであまり得じゃない
2.持ち家ならローン組んで買うのは個人の自己満足度による(土地には価値があるから※ただしあんまりド田舎で買うのはお勧めしない)
3.もし買うとしても、若くて低収入のときは中古のマンションを買ってでできるだけ早くローンを完済。その後、リタイアを間近にして資金的に余裕があれば新築を買う
とまあ、こんな感じだった。そしてこうした不動産を買うときは、足下のその町が将来に渡って発展していくかどうかを見るのも重要だ。少子高齢化が世界最悪のペースで進むこの国で、土地がこれからも値上がりしていくだろうか?何せ子供の日のニュースがこのていたらくの国なのである。
子供過去最少1725万人 総人口の13・5% 世界最低水準 5月5日8時1分配信 産経新聞
子供の数 過去最低を更新(2008年5月5日 読売新聞)
これでは、田舎ではマンションはおろか、一戸建てでも30年もすれば資産価値などなくなってしまうのではないか。それでも人生の不自由を承知で買うというのであれば、もう完全に自己満足だけの世界だろう。そのお金でインド株にでも投資したほうが、30年後に新築の豪邸を建てられる可能性は高いのではないか…。僕はそんな気がしている。
東京だってこれからは、上記のような人口・超減少社会に突入するわけである。この供給過剰の時代に購入したマンションが35年後に資産価値を維持しているなどというのは幻想以外の何者でもないような気がするのだが、どうだろうか。今回は、にわか知識の走り書きなので、詳しい人の意見を聞きたい。
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Comments
久しぶりに見たら、この記事は2日で13000超とすごいアクセスだったようですね。何があったんだろう?
とりあえず読売から引用したグラフが詐欺だとか何とか言われているようです。要するに、縦軸の数値を省略して、変化を強調しすぎているということですね。別にだますつもりはありませんが(だましても何の得も無いし)、予想外に怒ってる?人が多いようなので、「縦軸の数値省略に注意」とここに但し書きしておきます。
Posted by: 管理人 | May 08, 2008 at 02:04 AM
都心の中古物件の価格を見てみればわかりますが、都心のマンションは築30年超のものでも結構な価格で取引されています。築20年ちょっとの広尾ガーデンヒルズも今でも目が飛び出るほどの価格です。
だからマンションの資産価値は安泰、というわけではなくて、バブルの時期を除けば都心の物件というのは値崩れを起こしにくく、逆に庶民向けの郊外物件は値崩れを起こしやすいです。2002~2004年ぐらいに都心マンションを仕入れて、2007年に売り抜けていれば、かなり儲かったはずです。まあ、金はやっぱり集まるところに集まるということなんでしょうか。
東京も人口の減少という話ですが、今後、地域間格差が拡大していけば、都市部への人口のさらなる集中は避けられないでしょう。だとすれば、都心の物件は今後とも比較的安泰である可能性は高いと思います。また、高齢者が増えるほど、階段があって維持に手間のかかる一戸建てよりも、フラットで便利なマンションへの志向性も高まるでしょう。
現在はマンション不況と言われていますが、それでも売れているところはそれなりに売れていて、投げ売りになりそうなのはマンションブームにあやかろうとして値付けを間違えた郊外物件ばかりです。まあ、それ以外の物件でも売れ残り住戸の値引きぐらいは行われるでしょうが。
というわけで、庶民は新築マンションなんぞ買うべきではないという話になるわけですが、しかし、家族持ちになれば話は別です。家族4人でまともに暮らせる物件を利便性の高いところで借りようとするならかなりの家賃を負担することになります。庶民向けの中古物件は間取りが小さいものが多く、4人で暮らすにはかなり厳しいことになります。
となると、金利の安いうちに、値下がりを覚悟しても、やや広めの新築郊外物件を買うという話になるわけですね。だから、庶民で新築マンションを買った人が必ずしも持ち家信仰にひっぱられてとか、不動産業者に騙されてという訳ではないということを言いたいのです。かく言う私も、郊外に庶民向けのマンションを買った一人ですが。でも後悔はしてません^^;
Posted by: 団塊ジュニア | May 08, 2008 at 02:51 PM
団塊ジュニア様
丁寧な書き込み、どうもありがとうございます。
この記事がこんなに読まれるとは思いもしなかったのですが、大事なことを書くのを忘れていました。
この記事の前提条件となる、購入者の所得、家族構成などですね。
これは僕のように、年収がごくごく平均的で
、仕事内容が流動的、かつ家族も少ない場合の話です。
ダンさんのように財産が億単位だったり、そこまでいかなくとも年収1000万以上とか、子供が3人いるとか、そういう前提条件なら全然話は変わってくるでしょうね
Posted by: 管理人 | May 08, 2008 at 11:35 PM
>久しぶりに見たら、この記事は2日で13000超とすごいアクセスだったようですね。何があったんだろう?
事後で恐縮ですが、
こちらにピックアップさせていただきました。
http://newsing.jp/entry?url=elmundo.cocolog-nifty.com%2Felmundo%2F2008%2F05%2Fpost_6b86.html
Posted by: bmjapan | May 14, 2008 at 05:10 PM